庭の片隅にそっと置かれた石灯籠。
そこにあるだけで、不思議と心が落ち着きます。
何も語らず、静かに佇む石。
どこか「静かな存在感」を感じさせてくれるのが、石灯籠の魅力です。

歴史
和風庭園の象徴として知られていますが、石灯籠の起源は奈良時代に、仏教とともに日本へ伝わってきたそうです。
平安時代には貴族の庭園に置かれ、鎌倉時代になると武士の邸宅にも広がり、装飾的な美しさが加わり、「見せる灯籠」としての役割が強くなったようです。
室町時代には、茶の湯とともに池や小道の脇にさりげなく置かれ、庭全体の景観と調和する存在に変わっていったそうです。
そして安土桃山時代には、夕暮れの庭で灯りをともして茶をたしなむ。
そんな美しい風景として広がっていたそうです。何ともいえない静かな存在感にそのような歴史があったことに驚きです。
石灯籠の魅力は、見た目の美しさだけではないのが良いところです。
自然と調和する空間、年月とともに少しずつ変化していく姿があったり、
季節の植物とも相性が良く、桜、松、紅葉、銀杏とも風情のある様子に馴染んでいきます。
雪の積もる地域では、雪景色も最高ですね。
長く見守ってくれていて、静かな安心感をもたらしてくれます。
海外でも「ZEN GARDEN(禅庭)」と石灯籠も癒しの象徴として高く評価され、輸出もしているそうです。
石灯籠は、決して目立つ存在ではありません。
さりげなく置かれているだけなのに、静かで不思議な力を持っています。
昔の人たちが大切にしてきた静けさと調和の心は、現代の私たちにも癒やしの心を伝えてくれています。