緑色だった山の景色が、少しずつ色づきはじめました。
風の中にも秋の気配が感じられる季節ですね。
栗やさつまいも、きのこなど、秋の味覚が楽しみなこの時期。
今日は、そんな秋の味覚のひとつ「栗蒸し羊羹(くりむしようかん)」をご紹介します。
栗蒸し羊羹とは
栗蒸し羊羹は、あんに栗をたっぷり混ぜ、蒸して仕上げた和菓子です。
一般的な羊羹がしっかりとした硬さを持つのに対し、栗蒸し羊羹は水分が多く、もっちりとした食感が特徴。
少し“ういろう”のような、やわらかな口あたりです。
明治時代から親しまれており、長い歴史の中で多くの人に愛されてきました。
ほっくりとした栗の甘さと、しっとりとしたあんの優しい味わい。
それだけで、まるで一幅の和の情景を見ているような、落ち着いた気持ちになります。

中田屋の栗蒸し羊羹
今回いただいたのは、金沢の老舗「中田屋」さんの栗蒸し羊羹です。
中田屋さんといえば、小豆にこだわりを持ち、
素材の風味を生かした上品な甘さが魅力の和菓子屋さん。
しっとりとしたあんの中に、ごろっと入った栗が贅沢で、
ひと口ごとに秋の香りが広がります。
切り口から見える黄金色の栗は、まるで満月のよう。
おいしさだけでなく、見た目でも季節を感じられます。
お茶との相性・楽しみ方
栗蒸し羊羹には、温かい緑茶やほうじ茶がよく合います。
甘さの中に少し渋みが加わることで、味わいに深みが出ます。
冷やして食べるとすっきりとした甘さに、
温かいお茶と一緒ならほっとする優しい味わいに。
秋ならではの季節だからこそ、
その風情と趣をゆっくりと味わいたいお菓子です。

まとめ
和菓子には、季節ごとの趣や、つくり手の想いが感じられます。
中田屋さんの栗蒸し羊羹は、口にするたびにほっとした気持ちになり、
見た目と味の両方で秋の情景を思い描かせてくれます。
今年の秋も、小さな幸せとおいしさを感じながら、
穏やかな時間を過ごしていきたいですね。

